3 死

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徳子は驚き、「本当?」と聞き返した。 「あぁ、女房は、カンカンに怒ってるよ」 高橋は、話ながら泣きそうになった。 徳子は、黙って聞いていた。頭の中で、栄一や藤原、そして高橋と妻のことが、めまぐるしく動き回っていた。 「だから、しばらく様子を見ようと思うんだけど、…いいだろう?」 高橋は、お願いするような口調になっていた。 「嫌よ」 徳子は、はっきり拒否した。 「そんなこと言ってもなあ、…」 高橋は溜め息をついた。 2人共、どうしていいか分からず沈黙してしまった。
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