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外は青空だった。
ナオミは、自転車に乗り、松平家に向かった。
松平家に到着したのは午後2時30分だった。
自転車から降り、胸をドキドキさせながら、インターフォンのボタンを押した。
だるそうな声で、「はい、どちら様?」と応答があった。女だった。
ナオミは、松平の奥さん本人だろうと思い、ややうわずった声で、
「あの、私、高橋の家内です。夫のことでお話があります」と用向きを話した。
少し沈黙があってから、「今、行きます」やや緊張気味の声だった。
ナオミは、15メートル位離れた玄関ドアを見つめ、奥さんが出て来るのを待った。
玄関脇に植えられている椿の赤い花が、陽を受けて鮮やかだった。
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