693人が本棚に入れています
本棚に追加
蛍光灯のスイッチを点け、財布をコートのポケットに入れた。
そして、黒のウールのコートを着て、下駄箱からハイヒールを取り出して履いた。
ドアを開け、一瞬、悔しそうな目をして令子を見て部屋を出た。
バタンと音をたててドアを閉めた。
ナオミは、涙を流しながら、夕闇の中を駅に向かって歩いた。
もう2度とこのアパートに来ることは無い、と心に言い聞かせていた。
6 犯罪
そんなことが起こったことを知らない高橋は、午後9時頃帰宅した。
残業したので、いつもより遅くなった。
重い足取りで部屋に入った。ナオミの姿は無かった。令子が窓辺で寝ているのが分かった。
どこかへ行ったのか?
最初のコメントを投稿しよう!