3 死

103/108
前へ
/629ページ
次へ
そう答えれば、自分は、婦女暴行罪を犯したことを公にすることになる。 高橋は、そんなことはしたくなかった。 自分の罪を公になどしたくなかった。 それにナオミが無理心中を謀り、令子を殺したことも警察に知られてしまう。 ナオミを殺人者にすることなんて、とても出来ない。 やはり、警察に連絡するのは無理だ。 高橋は、何か良い考えが浮かばないかと煙草に火を点けた。 一服、二服するうちに令子が死んだことなど無かったことにすれば良い、という考えが閃いた。 令子が死んだことを誰にも知られないようにすれば良い。 高橋は、その考えに飛びついた。そうだ、何もかも捨てて、ここを出て行こう。 高橋の目に力が甦ってきた。
/629ページ

最初のコメントを投稿しよう!

691人が本棚に入れています
本棚に追加