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途中でバイクを置いて、高橋は、リュックを背負い右手にシャベルを持って山道を登った。
暗闇を歩くのは不気味だった。岩や木の根に躓いたり、滑ったりした。
こんなことなら懐中電灯を持ってくれば良かったと思ったが、もう間に合わない。
時刻は、午前5時になった。
高橋は、少し広い場所を見つけた。この辺りに令子を埋めようと思った。
リュックを下ろし煙草に火を点けた。一服して気持ち悪くなった。
煙草を捨て、右足でもみ消した。しかめっ面である。
ふと俺もここで死のうかなと考えた。
28年間生きてきた。資本主義の世の中では、金持ちの天国である。
俺のような貧乏人にとっては、楽しいことなど望めそうにない。
何かというと貧乏人と馬鹿にされてきた。
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