4 始まり

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あと2日で令子が死んだ日である。 ナオミが、どうしているか、生きているのか死んでいるのか、皆目、分からなかった。 高橋の物思いを階段を上がって来る靴音が停止させた。 客だろうか? 高橋はドアに注目した。 やや乱暴にドアが開いた。入って来た男は、50年配の大男だった。 カーキ色のトレンチ・コートを着ていた。 男は、高橋と目が合うと軽く会釈した。 こんな男は、今まで会ったことは無かった。 「マギー」に来る客は、常連客が殆どである。 高橋が無愛想なので新しく来た客が、再び店にやって来ることは、あまり無かった。 大男は、穏やかな表情で、「ちょっと、お尋ねしたいことがあるんですが、…」と言った。
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