684人が本棚に入れています
本棚に追加
/629ページ
あと2日で令子が死んだ日である。
ナオミが、どうしているか、生きているのか死んでいるのか、皆目、分からなかった。
高橋の物思いを階段を上がって来る靴音が停止させた。
客だろうか?
高橋はドアに注目した。
やや乱暴にドアが開いた。入って来た男は、50年配の大男だった。
カーキ色のトレンチ・コートを着ていた。
男は、高橋と目が合うと軽く会釈した。
こんな男は、今まで会ったことは無かった。
「マギー」に来る客は、常連客が殆どである。
高橋が無愛想なので新しく来た客が、再び店にやって来ることは、あまり無かった。
大男は、穏やかな表情で、「ちょっと、お尋ねしたいことがあるんですが、…」と言った。
最初のコメントを投稿しよう!