4 始まり

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高橋は、松平徳子を思い出した。 徳子も1人で「恵比須」で飲んでいた。 あんなに美しい女なのに傍に男は居なかった。 しかし、徳子は、熊本機械㈱ 営業部長の妻だった。 おそらく、中野が探している女もちゃんと夫がいるんだろう。 高橋は、更に女のことを想像しようとしたが、俄かに店先が騒がしくなり、それどころではなくなった。 客が3人入って来た。いずれも40歳位の労働者風で、安物のジャンパーを着、ウォーキング・シューズを履いていた。 今夜、初めて来た客である。
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