4 始まり

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高橋は、その笑いに引き込まれるように微笑を返し、軽く頷いて、 「たいして力になれなくて、すみません」と応じた。 中野は、丸椅子から腰を上げ、さよならを告げるように右手を高橋に向けて上げると店を出て行った。 翌日。 午前1時過ぎ、高橋は、1人も客がいない店で、ぼんやりしていた。 つい30分前まで5人ほど客がいて、結構、賑やかだった。 その明るさは、どこかへ消えていた。 高橋は、シーンと静まった店内で、つい目を閉じて眠ってしまった。 身体が傾いて、びくっとして目を覚ました。 あと1時間すれば、閉店できると思い、高橋は、気を引き締めた。
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