序章

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一筋の閃光が雲一つ無い空へと放たれた。 空の青さに驚く程綺麗に浮かび上がった金色の閃光は、一見すると花火にも見えるのだが、しかしこのオルガ大陸に住む人々にとっては、恐怖の何物でもなかった。 何故なら、人々は知っていたからだ。 あの閃光が向かう場所には必ず、千にも満たない人間が住む、村と例えても良いぐらいの極々小さな国が存在する事を。 そして射られれば最後。水分を瞬間的に蒸発させる程の灼熱が国を包み込み、其処に住む人々の逃げ出す余裕も与えず、何もかもが灰になる運命だと云う事を。 しかし人々の中には恐怖と同時に安堵する者も居た。 あれは、小国を滅ぼす為に放たれるのだ。 大国に住む自分達には無関係なのだ、と。 だからこそ人々は、此から国を滅ぼしに行く金色の描いた飛跡を見つめる事が出来た。
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