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「言えば、薫が哀しむからだ」
「………」
「薫を一人にさせられねぇんだよ、俺は…」
「ですが…」
「お前の気持ちはよくわかる。言った方が互いのためってのも充分わかってる。けどな…今回ばっかしはどうしても言えねぇんだよ」「組長…」
「雪…わかってくれ。俺にとって薫は本当にかけがえのない大事な存在なんだよ。だから哀しませたくないんだ」
「けど、お嬢には私達がいます!」
「それは、充分わかっている。けどな、組員はどこまで行ったって組員なんだよ。肉親には敵わねぇよ」
「………」
「薫にとったら俺が唯一の肉親だからな…それに、薫にもう二度と哀しい思いさせたくねぇんだ」
「…だから、言わないでおくと?」
「そうだ」
「…わかりました」
「雪…」
「組長がそこ迄言うのでしたら、仕方ありませんね…」
顔を見ると雪は苦笑いしていた
「組長に協力します。ただし…」
「ただし?」
「ただし…言わざるを得ない状況になった場合は皆に言いますが、その時は文句言わないで下さいね」
「あぁ。その時は頼む」
「わかりました」
「頼んだぞ」
「はいっ!」
「さて、俺はそろそろ寝るから雪お前も部屋戻っとけ」
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