第五章

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  今は沖田の防戦状況。 楓は重い一撃よりも、能力を生かして素早さと攻撃数で勝負することにしていた。 一瞬の内に何度も攻撃を繰り出す。 「はっ」 カ カ カ カッ 胴、首、面。どれも寸でのところで沖田に防がれる。 一方、沖田は剣士と戦っていると言うより、忍と戦っているような。そんな感覚に襲われていた。 (っ…速い。でも、そんな軽い打ち込みじゃぁ…!) 「勝てないよ!!」 ガン ブゥンッ 楓の打ち込みに間合いを合わせて弾き返すと、沖田は胴を狙って横に一振りする。 しかしそれは楓に当たることなく、空を切った。 「わぉ…凄い跳やくっ!!」 ガンッ 跳躍で攻撃を躱した楓は宙で回転した後、着地すると同時に床を蹴り、一気に沖田へ攻め寄る。 咄嗟に木刀で防いだ沖田と楓の木刀が鈍い音を奏でた。 (今のは重い一撃だったね…) 弾き返される前に、再び距離を取った楓と沖田はじりじりと距離を保ちながら睨み合う。 その様子を観戦していた平隊士達は手に汗握って、楓の強さに唖然としながらも二人の戦いに釘付けだった。 普段、自分達では手も足も出ない沖田が謎の異人に苦戦中なのだ。 怪奇現象でも見ているような心境だった。  
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