第四章

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  「よかったですね。稔麿は晋作を見捨てたわけじゃありませんよ」 「べ、別に俺はそんなこと気にしねぇし」 明らかにほっとして緩めていた顔を無理矢理に歪ませて、つんとそっぽを向く晋作。 「全く、素直じゃありませんねぇ」 そんな晋作を見て、やれやれと小五郎は溜め息を吐いた。 「…そういやあよぉ、稔麿が今度は異人に目をつけたってよ」 「異人…ですか?へぇ、それは興味がありますね。一体どちらで見つけたんでしょうか」 「さぁなー…また、面倒臭ぇことにならなきゃいいけど」 「はは。それは同意します」 毎度毎度、騒ぎに巻き込まれることを思い出して、げっそりとやつれる晋作。 隣で同じことを思い出していた小五郎は、言葉とは裏腹にとても楽しそうだった。 「くしゅんっ。…牛が何か言ったか?」 厠から出て廊下を歩いていた稔麿は牛。否晋作を思い浮かべてチッと舌打ちをする。 物凄い勘だ。 そして、ふとあることを思い出した。 「…ねぇ、いる?頼みたいことがあるんだけど」 誰もいない廊下で呟くと、懐から紙と筆を取り出して何やら書き出す。 それを折り畳んでその場に置くと、歩き出しながら、また呟いた。 「それを新撰組の一号まで頼むよ」 シュタ… 小さく何かが動いた物音がすると、そこにあったはずの文は、いつの間にか消え去っていた。  
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