第五章

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  土方は誰にも内容を知られたくないだろうが、例え否でも内容が分かってしまう楓。 新撰組が好きな者なら大半は知っているであろう、梅の花…。 (あぁ、土方歳三…否、豊玉師匠…ご愁傷様) 楓は心の中でそっと手を合わせたのだった。 「これで賢い土方さんなら、どうすれば良いか分かりますよね~」 「…っ、俺を脅す気か総司…」 「はい?何がでしょうねぇ」 勝利を確信した目で暗に上からものを言う沖田に対し、土方は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。 そして、ギロリと楓を横目で睨み付けて、そのままの状態で暫く押し黙った。 その時、睨まれている楓といえば… (ひぃぃぃぃ!!めっちゃ睨んでるっ、めっちゃ睨んでるーっ!!) 相変わらずのポーカーフェイスで、じっと目を合わせたままだが、内心は恐怖で色々と崩壊寸前だった。 「てめえ…異人か…」 疑問符の付いていない疑問文で問われたが、聞かずとも結論は出ているのだろう。 なんせこの異色な瞳だ。 「いえ、ハーフと言います。日本人とエゲレス人との間の子です」 「ほう…合いの子か」 「ええ」 この手の会話には大分慣れた楓。すんなりと自然に答えることができた。  
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