第五章

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  それを聞いた土方はスッと目を反らして、二人に背を向けた。 「道場で試合をするだけなら許可をやる。入隊試験とはまた別だ」 「ありがとうございます。土方さんっ」 態とらしく満面の笑顔で礼を言う沖田に土方は舌打ちをすると、屯所の中へ入っていった。 「総司、後で話があるからな」 沖田にとって不吉な台詞を残して。 「はぁ…後から大変そうですねぇー…」 いなくなった土方がいた場所を見て、沖田は溜め息混じりに、ぽつりと呟く。 そんな沖田の横では楓が密かにガッツポーズをしていた。 (ありがとう土方歳三っ!入隊試験が無くなったぁ!!) 睨まれて恐い思いを我慢した甲斐があったというものだ。…多少なりとも。 これで心置き無く戦える。 「さて、行きましょうか。聞きたいことがたくさんありますし…ね、貴方もでしょう?」 「…………」 ニヤリと笑って歩き出した沖田の後に楓は無言で続く。 そう、聞きたいことはたくさんあるのだ… ――――……  
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