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「貴方は…」
「黒之助さんじゃぁないですか~」
楓を見て、少し目を開いた斎藤と笑顔で手を振ってくる山南。
楓は二人にお辞儀した。
「お、なんだ?一ちゃんとサンナンさんの知り合いかぁ?」
それに一早く反応した原田がズカズカと足音を立てて、楓に近付いてくる。
落ち着きがないのは相変わらずのようだ。
「原田さん。近付かないでくれます?この方にお馬鹿が移ったらどうしてくれるんですか!」
「移んないよ!!」
楓の前に出て威嚇する沖田に藤堂が素早くツッコミを入れる。
呆れて肩を落としながら、原田同様こちらへ近付いてきた。
「初めまして、私は井上源三郎と申します。気軽に源さんとでも呼んでくださいね」
「!?は、初めまして。黒之助です…」
二人がこちらへ来るのを見ていた楓は、突然、横から声が聞こえて肩を揺らす。そこには笑顔の井上がいた。
(声をかけられるまで気が付かなかった…耳は能力で良くなっているのに…)
恐るべし、井上源三郎。忍に引けを取らない程の気配の薄さだ…。
楓は密かに失礼なことを考えていた。
「はいはい。挨拶は後、後。そいつは総司と試合しに来たんだろ?」
「そうです!永倉さん。さあ、黒之助さんっ試合を始めましょう!!」
「「えー…」」
永倉は原田と藤堂の襟首を掴んで引き留める。
二人がぶつぶつ文句を言うのも気にせず、元いた道場の隅に戻っていった。
それを見た沖田は、少し不機嫌だったのが一転し、急に機嫌を良くする。
笑顔で楓に木刀を手渡した。
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