第五章

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  「では、始めましょうか。……お話はその後で…」 最後をひっそりと楓の耳元で言った沖田の顔をちらりと見る。 その顔は先程と打って変わって鋭かった。 「…ん?なんだ。まだ初めてねぇのか」 沖田と楓が向き合って距離を取ったとき、土方がのっそりと道場に入ってきた。 「あ、土方さん。丁度良いところに!審判お願いします~」 「あぁ?面倒臭ぇなぁ…」 そう言いながらも、土方は審判をするために二人の間に移動する。 「勝負は先に一本取った方が勝ちで良いですね?」 「はい」 返事をして、楓は中段の構えをとった。 沖田も同じく中段に構える。 「では……始め!!」 二人は同時に床を蹴った。 ――――…… 「おいおい、何もんだぁ?あの異人」 「自棄に速ぇな…」 「凄いよ…目で追えない」 カン カンッ 楓と沖田の試合を見ていた原田、永倉、藤堂の三人は、漸く言葉を発した。 試合開始から既に一刻(約30分)が過ぎようとしている。 カンッ ドドッ カッ 木刀同士の当たる音と沖田の足音だけが響き渡る。 二人はお互いに木刀に掠りもせず、攻防を繰り返していた。  
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