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「あぁ…行き成り動いては駄目だよ。左手首を怪我しているからねぇ…」
何処か間延びしたその声によると私は怪我をしているらしい…。
それにしてもこの人は誰だ?
「猫さん。アナタの名前はいったい何でしょうねぇ~」
(は?猫…?)
どう見ても私に向けて話し掛けている男。
しかし私は疑問に思い
動かせる首を動かし、周りを確認する。
辺りに猫は見当たらない…。
「ふふ。何キョロキョロしてるんですか?アナタの事ですよぉ猫さん」
そう言うと男は私の頭に手を置き、優しく撫でる。
(え?私は猫ですか?)
何言っているんだこの人は…益々怪しい男だ…頭が可笑しいらしい。
私は怪訝に思い、その手を払おうと右手を伸ばす。
(……何、コレ…)
伸ばした手が偶然目に映るとソレは確かに黒い…猫の手。
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