第五章

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  「これは長引きそうですねぇ」 「はい~。それにしても、黒之助さんがこんなに実力のある方だとは思いませんでしたぁ…」 「えぇ。人は見かけによりませんね…」 少し離れた場所いる井上、山南、斎藤も似たような心境でそれを観戦していた。 なかなか勝敗がつかない。 そう思われたが、勝負は急な展開に流れ込むことになる… (はぁ…普通に攻撃するだけじゃダメだ…技術、力、経験共に適わない) 沖田との間合いを気にしながら、荒くなった息を整えて楓は考える。 敵うとしたら、速さ、跳躍力、そして… (頭脳!!) 楓は沖田に向かって駆け出した。 ブゥンッ 胴への攻撃を屈んで避けて、その体勢で上へと突きを繰り出す。 ガッ 予想通りに防がれたそれを直ぐに流して、そのまま上へ跳躍した。 「!?」 突然、消えた楓を追って上を見上げた沖田の面に、勢いをつけて木刀を振り下ろす。 ガンッ 沖田は木刀を横に両手で支えて、それをなんとか防ぐ。 楓はその流に沿って、落ちるように背に回り込んだ。 バシッ 「ぐっ!!」 ダーンッ!! 道場の壁に吹っ飛んだのは楓だった。  
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