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「これは長引きそうですねぇ」
「はい~。それにしても、黒之助さんがこんなに実力のある方だとは思いませんでしたぁ…」
「えぇ。人は見かけによりませんね…」
少し離れた場所いる井上、山南、斎藤も似たような心境でそれを観戦していた。
なかなか勝敗がつかない。
そう思われたが、勝負は急な展開に流れ込むことになる…
(はぁ…普通に攻撃するだけじゃダメだ…技術、力、経験共に適わない)
沖田との間合いを気にしながら、荒くなった息を整えて楓は考える。
敵うとしたら、速さ、跳躍力、そして…
(頭脳!!)
楓は沖田に向かって駆け出した。
ブゥンッ
胴への攻撃を屈んで避けて、その体勢で上へと突きを繰り出す。
ガッ
予想通りに防がれたそれを直ぐに流して、そのまま上へ跳躍した。
「!?」
突然、消えた楓を追って上を見上げた沖田の面に、勢いをつけて木刀を振り下ろす。
ガンッ
沖田は木刀を横に両手で支えて、それをなんとか防ぐ。
楓はその流に沿って、落ちるように背に回り込んだ。
バシッ
「ぐっ!!」
ダーンッ!!
道場の壁に吹っ飛んだのは楓だった。
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