第五章

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  「止め!!勝者沖田!」 土方が合図を出して、試合が終了する。 しかし、楓の頭にその声は届かなかった。 「ごほっごほっごふっ!!」 楓は打たれた脇腹を押さえて、壁に背凭れたまま顔を歪めて咳き込む。 視界はボヤけて見えた。 「っ!黒之助さんっ大丈夫ですか!?」 周りが唖然としている中、沖田が楓に駆け寄った。 「ぐっ…はぁ…だ、大丈夫です…」 「!血が…」 楓は呼吸を整えながら、なんとか返事をして口元を手で拭う。 いつの間に切ったのか、唇からは血が出ていた。 (悔しい…勝てると思ったのに…!) 楓が後ろに回り込んだ瞬間。楓は沖田に向かって木刀を横に振り払ったが空を切り。 それを屈んで避けた沖田は後ろを見る間もなく、そのまま木刀を後ろに突き出したのだ。 それは楓の脇腹に当たり楓は吹っ飛んだ。 後ろを振り向けば、その間に距離を取られる。瞬時にそう判断した沖田の経験と勘が勝敗の鍵を握った。 楓は悔しさに手をきつく握り締めた。 「いやぁ~いい試合でした」 「…ええ。ここにいる者達とは一味違う」 「ですねぇ」 見ていた者は口々に感想を言う。
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