第五章

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  (ひぃ…っ!) 楓は心の中で悲鳴を上げた。 顔は笑っているのに目が全く笑っていない。…何を考えているか分からない分、余計に恐怖を感じて、楓は頬を引き吊らせた。 一方、周りは沖田の異変に気付いていないのか、のほほんとした空気が流れている。 「うーん…でも、その目は一度見たら忘れないよねー…でも、あの身のこなし…」 藤堂は頭を捻りながら思い出そうと、沖田と楓の間に割り込んで、楓の顔を覗き込んだ。 どうやら沖田の異変にはまだ気付いていない様子。 ある意味、勇者な藤堂を心配しながら楓は間近の顔に話しかけた。 「な、なんですか?」 「んーや、ねぇ。…どこかで会ったことある気がするんだよ。あったっけ?会ったこと」 「んぉ!?なんだぁ平助。男を縄文式の軟派かぁ?」 それに気付いた沖田の後ろにいる原田が、ケラケラと笑いながら藤堂をからかう。 こちらも沖田の異変に気が付く様子なし。 「違うよ!!…あっ!もしかしてあの時の…」 藤堂が何かを思い出した様子で声を上げたとき。 「平助っ!」 ドスッ 「ぐはっ!!」 沖田が藤堂の鳩尾に肘を打ち付けた。 「ちょ、総司!?あぁあっ平助ぇ!!」 気を失って崩れる藤堂を原田が慌てて支える。 その騒動で気付いた周りの視線が、一気に楓達へと集まった。  
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