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グチグチくどくど続く説教。
正座する私の目の前には鬼の形相の母親、片手に紙切れが握られている。
いい加減気付いても良いのに…その紙切れの原因は自分だと。
そんなことにも気付かず、毎日説教。正直、暖簾に腕押し、糠に釘。
全く無意味なこと。
「分かったよ。次はちゃんとやる」
そう言えば母は静になり去っていく…。実に簡単なこった。
その後ろ姿を見送ると、置いていった紙切れを手に取り広げる。
プリントされている文字以外、何も書かれていない用紙。
いや、右隅に自分の字じゃない赤色で大きく丸が一つ書いてある。
「…零点ねぇ…」
自分の名前すら書いてないのに返ってくるなんて…先生もイヤミだな。
私の手には零点の紙切れ…数学の試験用紙が握られていた。
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