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―Aside―
信号の色が変わって
沢山の人が行き交う交差点
降り注ぐ雨の糸が
人混みの中に溶け込んで
俺もその中の一部になって
空を覆い尽くす分厚い雲に
今の気持ちを重ねていた
そしたら突然、
ぐらりと視界が揺れて
行き交う群衆を散らかすように
凄いスピードのワゴン車が自分に迫ってきた
そこからは全てがゆっくりで…
わかんないけど、
俺は何かを必死で庇うように抱えこんで
徐々に強くなる光の眩しさに耐えきれず固く目を瞑った
そして―――
ドンっという凄まじい衝撃音と共に、つんざくような悲鳴が遠くなって…
真っ白な世界に身を投げだした―
A「…………っはッ!!!」
衝撃に飛び起きて目を覚ますと、いつもと何一つ変わらない朝の自室が目に飛び込んでくる
A「はぁ……なんだ、」
夢か……。
なんだよ、俺めちゃめちゃビビったじゃん…。
なんか、凄まじかったな…今の…
普通、夢って起きた瞬間にどんな夢か忘れちゃうことが多いけど、今のは鮮明に思い出せる。
だって、
スッゴいリアルなんだよ?
怖いくらい現実的なの。
…もし、正夢になったりとかしたらって考えるとゾッとする。
うぅ、怖っ。
縁起でもないこと考えるもんじゃないよ…
でも…俺……
ほんとに、大丈夫…?
目覚めの悪い夢のせいで朝だというのに怖くなっちゃって、
辺りをキョロキョロと見回してみると、やっぱりそこはいつものリビングだった。
どうやら、仕事帰りで疲れてたらしく、寝転んだソファーで寝ちゃったみたい。
付けっぱなしのテレビには、番組で度々お会いするアナウンサーが聞き取りやすくニュースを読み上げていた…
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