始まり

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予期していたとはいえ、あまりにも突然の別れ。 勇司はタバコをセブンスターに変えた。いや、戻したというべきか。 朝の通学電車。ボリュームをMAXにしてBO¢WYを聴く。5人組の周りには満員電車とは思えない空間が出来ている。 周囲の(関わりたくない)オーラを無視して勇司は前を見据えていた。 天神橋筋六丁目の駅から乗ってくる女子高生。毎日見る顔だ。 周囲の誰もが5人を見ようともしないのに、この日はやけにその女子高生と目が合った。 勇司が降りる駅に着く。電車から降りた瞬間、女子高生が顔を赤らめ、うつむき、勇司に手紙を差し出した。 何かを言っていたがボリュームをMAXにしている勇司には聞こえない。勇司はただ手紙を受け取ってセブンスターをくわえ階段をゆっくり上がった。
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