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私は狂ったように泣いた母を忘れられずにいた。
だから中学校にあがってから度々、母のいないときを見計らって藍兄に電話をして"あんなヤツ"を知ろうとするしかどうすることも出来ずにいた。
それは母が私に携帯を買ってくれ、母に見られないように電話が出来るようになってから頻繁になった。
「……藍兄?」
彼はいつも電話をかけて
きっかり2コールで出てくれる。
返事はない。
それが当たり前だから名前を呼ぶ。
「澪か…どうした?」
数回その電話が続くと藍兄は私を呼び捨てで呼ぶようになった。
それが"普通"の兄妹には当たり前なんだろうけど、私達にはとても大きな一歩だった。
藍兄の話だと
彼の母親は刑務所の中にいるらしい。
内容は殺人未遂。
殺されそうになったのは私の父親…理由は私の母との浮気だと言う。
しかし、その時には藍兄の母とは離婚していたらしい──が彼女は最後まで納得せず…の離婚だったと言う。
離婚してから父は私の母と付き合い、結婚し、私が生まれた。
それからは平和が続いていた様に思えたが…私が生まれて育児に疲れている母のところに
ある日突然の無言電話。
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