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雨が降る夜、私は一人あてもなく歩いていた。
記憶なんて無くなってしまえ、そう思ったのは何度目だろう。
無くなってしまえば私は、あの両親に恐怖を覚えなくてすむだろう、と。
数えられなくなった私は
雨降りの中で黒い折りたたみ傘をさしていた。
それは小さめの傘で肩にかけているスクールバックが半分ほど雨に降られてしまうようなモノだった。
私の持っている携帯が確かならば今は22時で周りは真っ暗。
それでも私は家に帰る気にはなれないでいた。
何処にも居たくなくて─特に人がいるところに─けれどどこに行こうか、なんて事を考えられるほど頭が回るような状態でもなかった。
しかし、家に帰らないわけにもいかない。
帰らなきゃ、いけない。
帰りたくないな…
さっきから、これの繰り返し。
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