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ご飯も食べる気になれないでいた私は音が欲しくて、見たくも無いのにテレビをつけ、母が毎日作ってくれている麦茶を冷蔵庫から取り出し、飲んでいた。
プルルル…
そんなときに不意になった携帯電話…それが妙に不思議に感じたのは私だけかもしれない。
私は携帯電話をロクに見ず通話ボタンを押した。
「…はい」
暫くの沈黙
そして低い声
「…澪レイ?」
私の名を呼ぶその声は聞いたことのある気がする。
「……だれ?」
電話の向こうの彼は一瞬絶句したように息を止めた。
「…わかんない?」
「わかんない」
「気づけよ」
「誰だよ」
相手は私を知っている様だが私は誰か分からないでいた。
聞いたことのある声なのに名前を思い出せない。
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