285人が本棚に入れています
本棚に追加
あいつ、ほんとにだれ?
なんで俺の事を全部知ってんの?
熱いシャワーを頭から浴びて考える。
『シャワー浴びておいでよ。
僕は浴びたし、髪まで乾いちゃったし…』
なんて、放心状態だった俺の髪を撫でてからニッコリ、と。
口は笑ってるのに目が笑ってなかった。
逆らうなオーラをプンプンさせて、俺をシャワールームに押し込んだ。
「意味、わかんねぇ」
ぽつり、と小さく呟いてあいつの言葉を全部、出来るだけ細かく思い出してみる。
それにあの顔。
最初は気付かなかったけど、あの顔はどっかで見たことある、…はず。
けど、考えれば考えるほど、どこで見たのか思い出せない。
俺の事をあいつは知ってるのに、俺はあいつの事を全く知らない。
近くにあったバスタオルを腰に巻いて戻るとベッドに寝転んで電話してる、あいつ。
あ、今更だけど名前知らないや。
「うん、ん…わかったって」
俺はベッドに静かに腰掛ける。
やっと気付いたのかこちらを見て、ぱあっと明るくなる表情。
「ユチョンっ、あがったんだね」
「ん、まぁね」
「で…服は?」
「は?…え、ヤらないの?」
「…ヤりたいの?」
「…なわけないじゃん」
「じゃ、寝るから服着といで」
てっきりヤるのかと思ってたのに…。
"僕の"だったから変態ってか、そーゆー意味でかと。
なおさら意味わかんね。
え、ほんとに所有みたいな?
はぁ…。
部屋から出れないし…、隣じゃきもちよさそーに寝てるし。
いいや、寝よ。
所詮、そんなもンだしな。
俺の人生。
_
最初のコメントを投稿しよう!