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ポロン、ポロン…と何度か鍵盤を押して音と鍵盤の感触を確認。
──…よし、いいピアノだ。
小さく息を吐き出して、ゆっくりと、震える両手を鍵盤に添える。
大きく息を吸い込み短く息を零して鍵盤に置かれた指を動かす。
さっきまで俺をバカにしていた着飾った大人達が黙って俺の奏でる音を聴く。
──なんて、いい気分
罵声ばかりしていた大人達が、俺の奏でる音に耳を傾けて聴き入ってるんだ…。
俺の"音"が大人達の鼓膜を振動させて、脳に響かせてる。
そう考えただけで背筋がゾクゾクする。
まぶしすぎるライトを浴びて、
いい音を出す、グランドピアノ。
そして、金に溺れたバカな大人達…。
最高の舞台に、独特な雰囲気が堪らない。
速くなる指の動き、自然と詰まる息。
ピアノを弾く時が"俺の時間"。
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