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都会の中のカラス
お正月、私はプレゼントのワンピースをきて、太地さんの家に行った
とても広いマンションで最上階である
『ワンピース似合ってるな。素敵だ』
私は着替えを整理した
太地さんの部屋は片付いていて、リビングも広かった
カウンターの真ん中に写真が飾られていた
とてもカタギの人には見えなかった
『俺の親友なんだ。小学生の時からの…高校生の時退学してヤクザの世界にはいっちまってな
俺はまともに卒業して大学にも行った。この会社継がなきゃいけないから
康人っていうんだけど自由な奴だったよ。ヤクザなのに一匹狼でさ…だから敵も多かった、でも慕う奴も多かった
そんな世界のちがう俺達だったけど仲は良かった。よく飲みにいったり、ボーリングも行った。ノリがいい奴で、ストライクでると子供みたいにはしゃいでた
その翌日、拳銃で撃たれて殺された…
俺毎日泣いてたよ
49日の日、帰りに柚子ちゃんの店に寄った。葬式ってのは嘘…ごめん
たまたま出会って俺に光がさした
康人が遺してくれた光だ』
私の目の前にはカラス少年がいた…
『黙ってるつもりなかったんだけど…俺がカラスだよ。骨を飲み込んで斎場で大泣きした馬鹿男だ
まさか俺のブログを柚子ちゃんが読んでるなんてな…世の中狭いよ。ブログやめたのは、新しく人生やり直すつもりで』
【よかった…カラス君の心配してたから】
『柚子ちゃんがうちきたら話そうと思ってたから』
私は写真に写る二人をそっと指でなぞった
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