23人が本棚に入れています
本棚に追加
「謎は全て解けた! 犯人はこの中に居る! じっちゃんの名にかけて……」
「――はい、ストップ。おめえ某有名漫画の台詞パクってんじゃねえよ。しかも最後の一文は別の時に言う台詞だろ」
ビシッとポーズを決めて言い放つ田中に大樹は呆れ混じりに突っ込みを入れる。
「おっと、これはこれは。僕が人気投票で一番初めに投票した大樹くんではありませんか」
田中は突然妙な事を口走りながらV字型にした親指と人差し指を顎に当てている。
何の意味があるのかは不明だが、少し考えるような仕草をした後で言葉を続けた。
「そうだな。んじゃ……、真実はいつも一つ!」
再び決めポーズを取る田中。
大樹はもはや何も言うまい、といった様子で額に手を当てて首を横に振った。
「そんな事より分かったなら早く犯人言えよ」
秀人も大樹と同じように呆れ混じりの笑みを浮かべている。
「仕方ないな。君たちにも見せてあげるよ。僕の華麗なる推理ショーをね」
田中は得意気な表情で皆を見回した。
壁に掛けてある時計は二十三時五十分を指している。
最初のコメントを投稿しよう!