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「そしてこんな手の込んだ挑戦状を作って自らの犯行を解決してくれと依頼したのは、僕がこういう事件が好きだと知っていたからだね。人の命が関わった事件じゃなく、自分が犯人を突き止めさえすれば誰も傷つくことなく元通りになる。それこそ僕が刑事時代から理想としていた形だよ。残念ながら事件が起きてから捜査する訳だけど……」
田中は語尾を弱めて寂しそうな表情をする。
そこでふと鏡司が無駄に明るい声で口を開いた。
「何にしろ事件解決お疲れさん。んで……」
鏡司は不意に秀人と大樹に視線を移す。
それを受けた二人は鏡司とともに各々のポケットから何か取り出した。
「Happy birthday!」
声を揃えて言うと同時にクラッカーを鳴らす三人。
空中には色とりどりの紙くずと若干の煙が舞う。
続いて美咲も鞄から何かを取り出して雪菜に目で合図を送った。
「誕生日おめでとさん!」
美咲は今回の事件の元となった小説を田中に差し出す。
「ティナさん、おめでとう! これ、文章考えたのは私と美咲ちゃんだけど、ネタはここに居る全員で考えたんだよ」
雪菜はにこにこしながら田中に報告した。
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