【第一章:田中たかしの事件簿】

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「いや、わざわざ捜査に行かなくても暗ご……」 「――ああ~!」  美咲が恐らく暗号という単語を口にしかけた瞬間、田中が慌てた様子で遮る。  しかし時既に遅し。雪菜が首を傾げて美咲を見ている。 「暗ごって何? 暗号とかじゃないよね?」  好奇心からか雪菜の瞳はキラキラと輝いている。  田中は「いや、なんでもないよ」と平静を装って答えたのだが雪菜にはバレバレだったようで、「ティナさんは隠し事が下手だからね。声が裏返ってるよ」と言って疑いの眼差しを向けた。  それを聞いた田中は観念したように「はあ。ギリギリまで自分で考えるつもりだったのに」とため息をつき、「ちょっと待ってくれよ」と言って全員分のお茶をグラスに注ぐ。  それを皆に出してから自身の机の上にある紙切れを手に取った。  雪菜だけでなく鏡司たちも興味深そうにその紙切れを見つめる。
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