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「いや、わざわざ捜査に行かなくても暗ご……」
「――ああ~!」
美咲が恐らく暗号という単語を口にしかけた瞬間、田中が慌てた様子で遮る。
しかし時既に遅し。雪菜が首を傾げて美咲を見ている。
「暗ごって何? 暗号とかじゃないよね?」
好奇心からか雪菜の瞳はキラキラと輝いている。
田中は「いや、なんでもないよ」と平静を装って答えたのだが雪菜にはバレバレだったようで、「ティナさんは隠し事が下手だからね。声が裏返ってるよ」と言って疑いの眼差しを向けた。
それを聞いた田中は観念したように「はあ。ギリギリまで自分で考えるつもりだったのに」とため息をつき、「ちょっと待ってくれよ」と言って全員分のお茶をグラスに注ぐ。
それを皆に出してから自身の机の上にある紙切れを手に取った。
雪菜だけでなく鏡司たちも興味深そうにその紙切れを見つめる。
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