家族

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『久しぶり』 足立さんは、軽く笑って言った。 本当に久しぶりに会った彼は、なんだか少し落ち着いて見えた。 今日も薄くストライプの入った紺のスーツが似合ってる。 あたしだけが浮き足立ってるみたいだ。 『なんか雰囲気変わったね』 『あぁ、はい。美容院へ行ったの』 『そうなんだ。スッキリしたね』 (スッキリした、はあんまり嬉しい言葉じゃないのに) あたしは、少しガッカリした。 やっぱり思い過ごしは傷付くだけだ。 ふいに彼が言う。 『こういうの言い慣れてないからなんて言ったらいいのかわからないけど、キレイになったね』 あたしは、頭が真っ白になる。 『ありがとう』 言うだけで精一杯。 すぐに伊藤さんを呼びにその場を離れた。 あたしのドキドキはピークで、どうやって伊藤さんを呼びに行ったかよく覚えてない。 彼の言葉がいつまでも頭の中を廻っていた。
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