70人が本棚に入れています
本棚に追加
麻酔が切れる間、じっと母の顔を見る。
父は担当医からの話を聞きに言った。
呼吸する度、マスクが曇る。
幾つもの管が体と機械をつなげている。
…想像した以上に痛々しく、生かされている気がした。
『亜由美…』
弱々しい声が聞こえた。
『…こんな姿見せちゃって…ごめんね…ごめんね…』
何度も呟く母。
麻酔が完全に切れてないので、朦朧としている。
『もう大丈夫だから、ゆっくり眠りな』
あたしは、母の手を握る。
母は、1つ大きな呼吸をしてまた目を閉じた。
父の話によると、腫瘍は全て取り除き、手術は無事成功したらしい。
あとは、術後の経過を見て退院を待つばかりだ。
最初のコメントを投稿しよう!