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会社帰りに母の病院へ寄って帰るのが毎日の日課になっていた。
母の容態は、徐々に良くなり見た目にも元気になっている様子だった。
毎日のお見舞いで、今まで話す事のなかった事を話すようになっていった。
母はよく聞いている。
時々質問をしながら。
こんなに自分の周りの事を話す事は今までなかった。
あたしの話を母が聞いているなんて、信じられなかった。
でも、この病室では理想的な母娘だった。
あたしと母も周りの目を気にしてこうなったのではなく、自然の流れの結果でだ。
でも、母が病気にならなければ、こんな関係にはなれなかったと思う。
あたしが素直になれたのは、間違いなくあたしは母を失うのが怖いからなのだ。
あたしにとっては、いくら小さい時に打たれて手が腫れたとしてもやっぱり母は母なのだ。
これがもし父が倒れたとしても、弟が何かに巻き込まれたとしても大事な家族を失いたくないから同じ様に守ろうとするだろう。
その位、今回の事であたしは家族の大切さを思い知った。
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