告白

2/14

70人が本棚に入れています
本棚に追加
/123ページ
由美ちゃんの車に乗ったのは初めてだった。 ブレーキのタイミングもあたしと同じで安心して乗れた。 車の中は、至ってシンプルだったが随所に由美ちゃんらしいセンスがうかがえた。 『このシートカバー、可愛いね。どこで買ったの?』 『私の手作りですよ。こういうの得意ですから』 やっぱり由美ちゃんはスゴい。 かかってる音楽も、つい最近出たアルバムだった。 何から何まで、あたしとは違う。 軽いジャブを浴びた感じ。 劣等感の波が打ち寄せてくる。 『佐山さん、今何かドラマ見てます?』 由美ちゃんは、信号待ちでこっちを見た。 改めて見ても由美ちゃんはやっぱり可愛い。 ハンドルを握る手も細くて長い。 由美ちゃんらしい、いい匂いもするし… 『今はほとんど見てないんだ。ちょっと忙しくって』 信号が変わり、由美ちゃんはアクセルを踏む。 『私は、断然木曜日の松本純一郎のやつです。超かっこいい~!! それにあの体つき。絶対鍛えてますよね。肩幅も広いし。 下を向いてて顔を上げる時、少しワイルドになるじゃないですか、こう上目使いで』 由美ちゃんは前を見たままやってみせる。 『あの仕草が足立さんとよく似てるんですよねぇ』 由美ちゃんはやんわりと思い出し笑いをした。 やっぱり由美ちゃんにはウソはつけないな。
/123ページ

最初のコメントを投稿しよう!

70人が本棚に入れています
本棚に追加