70人が本棚に入れています
本棚に追加
『ごめんね』
『なんで佐山さんが謝るんですか?
…確かに、ちゃんと話してくれたらってずっと思ってましたけど』
『そうだよね。黙っててごめんね』
『佐山さん、さっきから謝ってばっかり。私はちゃんと佐山さんから気持ちを聞きたいです』
『あたしは…前から足立さんの事が好きだった。
なんか、足立さんと居るとすごく落ち着けていつの間にかあの笑顔をもっと見ていたいなぁって…』
由美ちゃんは、運転したまま小さく肩を下ろした。
『私は、足立さんのあの声も、あの顔も何もかも全て好きです。足立さんって、人と話すとき絶対目を合わせるでしょ。
もし私が座っていても、屈んで目を合わす。
そういう所はもっと好き。
私、誰にも絶対負けたくない』
『由美ちゃん…』
『佐山さんだってそうでしょ?
足立さん、絶対会社でももてると思うんです。
私が知らない足立さんを知ってる女が居るかもって思うだけで、もーイライラしちゃうんです』
由美ちゃんは、小刻みに頭を横に振った。
いつの間にか車は駅のロータリーに止まり、窓からは間もなく完成のビルが見える。
最初のコメントを投稿しよう!