告白

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会場に戻ったあたしをいち早くお局が見つけ、近寄ってきた。 『亜由美ちゃん、探したよ』 『すみません、ちょっと外の空気を吸いに行ってました』 『そう』 『今、何やってるんですか?』 『ビンゴ大会だよ。ほら、亜由美ちゃんのも貰っておいたから、由美ちゃん達の所へ行こう』 揃って迷惑にならないように身を屈めながら、由美ちゃん達のテーブルに向かう。 司会者が番号を呼ぶ度に歓声が上がっている。 司会者の横には、景品が置かれたテーブルが並べられていた。 『ほら、これが亜由美ちゃんの』 渡されたビンゴの紙を持つ。 まだ場の雰囲気に追いつかず、頭がぼーっとしていた。 無意識に司会者が読み上げる番号を折り曲げていく。 『…番! いらっしゃいませんか? リーチの方は手を挙げて下さい…』 『亜由美ちゃん、どう?』 お局があたしのを覗き込んだ。 『嫌だ、亜由美ちゃんリーチだよ!』 『えっ?』 確認した瞬間、司会者が番号を読み上げた。 『15番! ビンゴの方はいらっしゃいませんか?』 『亜由美ちゃん、ビンゴだよっ!』 あれ、本当だ… 『はいっ!はいっ!この子ビンゴですっ』 お局がいち早く手を挙げて、あたしの背中を押した。 今まで当たってた人が男性だった為に、余計注目を浴びる。 どよめきと拍手の中、あたしは真っ赤になりながら前へ出た。 司会者が一段と盛り上げるべく握手で迎えてくれた。 『素敵なお嬢さんに当たりました。嬉しいですねぇ~ 会社名とお名前をお願いします』 あたしは、マイクを持ち顔を上げた。 !! …目の前に足立さんが居た。 無言で頷きながら、右手で胸を叩いている。 (落ち着いて…大丈夫…) 聞こえてくるようだった。
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