壬生浪士組…!?

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いつも遊んでいる子供達に 切羽詰まった声で呼ばれて、彼はある寺に駆け付けた。 そこで、女の子が涙目になって 抱えていたのは、 ぐったりしている 一匹の黒猫だった。 黒い毛は雨に打たれて、 びっしょりになっていた。 微かだがまだ息をしている。 「総ちゃん、総ちゃん! 猫ちゃんが!!見つけたときには もうぐったりしてて……っ!!」 その先は言葉にならない。 泣いている彼女を落ち着かせる為に出来る限り優しい声で言う。 「大丈夫ですよ……。 まだ、この猫は生きてます」 「本当!?」 ええ、と大きく頷きながら彼は考える。 まだ、生きているが このままにしておいたら死んでしまうかもしれない。 幸い、ここから屯所まではさほど遠くない。 「でも、このままにしておいたら死んでしまうかもしれません…… ここからなら屯所も近いし、この猫、僕が引き取っていいですか?」 そう言うと彼女は、もちろん!!と黒猫を渡してくれた。 そして、子供達と別れ 『彼』 壬生浪士組のちの新選組 一番組 組長沖田総司は 黒猫を抱えて帰路についた。 .
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