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「ってーー!!」
「いの一番……マーチの、頭に…向かって…来て、る…から……気をつけ、て…」
「遅いってのっ!!いてー…」
マーチは、頭にヒットした“何か”を左手で捕まえ、右手で額を押さえ、涙目で叫んだ。
そして、マーチが叫んだのち…ゆっくりおっとりした口調でヤマネが注意を促す。
しかし、既に頭にヒットした何か――鷲(わし)をしっかりと左手で捕まえたまま、右手で押さえていた額を擦って言った。
「すぴ~……」
「…で、また寝るし…。…たく…マイペース過ぎるだろ…。…に、しても…あの人から手紙…か。嫌な予感しかしないな…」
再び寝息をたて始めたヤマネを横目で見、ため息を吐いたのちにマーチは鷲――いの一番の足に付けられた手紙を、右手で取った。
右手で手紙を取ると、いの一番を左手から離してやる。
「…手紙も取ったし、もう大丈夫だ。お疲れさん。気をつけて帰れよー!じゃーなー」
軽く手を振り、いの一番が飛んでいくのを見送った。
いの一番が完全に見えなくなると、小さくふぅ、とため息を吐き右手の手紙に視線を落とす。
丸められたそれを、憂鬱げな顔で開いて読み出した。
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