引越先

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「おぉう…、海だ…」 うーみーはー広いーなー大きーいなーっ。 「ヤッホ――!!」  あ、それは山だったデス。 「寝てなさいって言ったわよね?」 ―バシッ 「あだっ!!」  おぉう…、 ヒドいデスよおかーさん…。  誰だって船に乗ったらやりたくなるってもんなんデスよぅ!  船の先っぽまでいって、タイ●ニ●クとかしたくなるのも仕方ないデスよぅ!!  むしろそーゆーDNAがわちしの中には組み込まれて…!!← 「…………」 「あんまり下ばっかりみてると酔うわよ」 「だいじょぶデスよ」 なんだか波って波と言うよりも一枚の布みたいデスね。穏やかだとそう見えマス。  砂浜とかだと、波がざざーってなって水がキラキラしてるのに、海の上は全然何にもないんデス。 ただ、布がひらひらゆらゆらしてるだけにしか見えないデスよ。 『……海の下には何があるんデスかね…?』  海の上が何もないなら、海の中や底も何もないとこなんじゃないデスか?  生物の祖先がみんな陸にあがっちゃったせいで、海にはなんにもいなくなっちゃって…、海の底は生も死もない、ただの“無”が広がっていた……とか。  なんちゃって。柄にもなく変な事考えちゃったデス。 「……………」 なんデスかね…、ずっと海を見てたらヘンな感じになってきちったデス…。 なんか吸い込まれそうなんデス。こう…ぐぐぐぃーっと海に。内臓から引っ張られるような…、お腹から押し上がってくるような…。 一言で言うならばそう… 「ぎぼぢ悪い"…」 「トイレ行って来なさい!!」 注意されたにも関わらず、見事船酔いした碧は、フラフラしながら船内のトイレに向かって歩いて行った。 →
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