引越先

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「ただいまー」 「あぁ、おかえり。昼ご飯机の上にあるから勝手に食べなさい」 「はーい」 階段下から聞こえた母親の声。鞄を机の上に置き、コートも適当にくるくるとまいて置いた。途中で雨風が強くなったためか、コートの裾が濡れてしまっていた。 「…ふぅ」  ため息を零しながら思い出すのは先程の白銀の髪の男。まだ少年のような面影を残し、少し戸惑った様に何かを言ってきた彼。 さっきの人は何が言いたかったんデスかね?思わず逃げちゃったけど、…気になるモンは気になっちゃうんデスよぅ!  碧は煮え切らないこの感じを不快に思い、口を尖らせた。私服に着替え、雨で濡れた髪を手で梳かしながら碧は階段を降りていった。 →
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