言葉+飛び込み=始まる

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夕方の繁華街の風景と誰かの話題を話す雑音を耳にしながら、小学生から歩き慣れた道を歩いていた。 平凡な話題とテレビ番組に興味も無く。暇つぶしに書店に入っても、買う物も無く。ただ暇を弄んでいた、今日この頃。 世間の人間ならこのような人物を落ちこぼれだとか、やる気がないヤツと呼ぶ。 …しかし、その人間に対しての呼び方は“差別発言”の他ならない。個人の生活環境や家族の事情すら知らないから言える言葉。 誰もすき好んで選んだ道ではない…… 誰もが他人の行動で人生設計が狂い、歯車が外れ落ちただけなのだから。 例えば学校でのいじめで不登校になったり、会社で心の病気になり他者に迷惑をかけないようにと仕方なく会社を辞めたり、と個人には様々な傷をつけられて縛られた心の過去がある。 たいてい、このような、重い事情を話したら他人は口を揃えてこう言う。 『まあ、頑張れ。』や『次がある。』と工場で大量生産された物のような言葉を聞かされる本人には“無慈悲”な言葉にしか聞こえない… 聞く側の人間の思考は既に自己完結させられているのか。時間を省くためよく使い古された手で個人の愚痴を聞かされないように勤める。 紙に字を書かされる時間よを聞かされないようにするのが“大事”なのだろう。 ただ、単に右から左に聞き流し無難な言葉を選び並べて終了だ。 俺はそんな世間の考え方が嫌だったが、あの財布を拾ったのは偶然ではないと思っている…
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