鳩胸の国のアリス

2/10
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
俺たちはこのまま消えていくの? そんなこと、認めない。 どうしたら、生き残れるだろう? 01.use people to gain for one's own ends 夢を、見ていた。 誰かが俺の隣で笑っている もちろん、俺も笑っている でも相手のそれは、本物じゃない 今までのことは全部嘘? 笑い顔も、泣き顔も、 どうして? どうして、嘘なんかつくの? 怖い。 誰か、助けて―――― 「おい、起きろ。ブラザー。」 そんな低くてうざったい声が聞こえて、意識が急に浮上する。聞いたことのない声に、瞼を徐々に開いた。 「やっと起きたなブラザー。さぁ、急げ時間がない。」 自分に馬乗りになる男。どっかの国旗みたいなタンクトップ。そしてなにより…気持ち悪い。 不法侵入だ。 通報しなきゃ。 直感的にそう思ったが、それ以前の問題に気が付いた。 「……う、さぎ?」 「いかにも、白うさぎだ!!」 七三分けのワックスべたべたな髪から、白く長い耳がまっすぐ伸びている。こんな人間がいるだろうか、俺は自問自答したが直ぐに答えが出た ……いない。いるはずがない。 「―――あぁ、そうか夢か。」 「お?夢ではないぞ失礼な!」 「いや、夢だ。まだ夢をみてるんだな、俺は。」 「…まぁいい。早くしないと、閉じてしまう。急げ。」 白うさぎ?は諦めたのか、俺を引っ張って部屋を出る。ちょっと待てよ、こんな寝間着みたいな格好で外に出るなんて冗談じゃないぞ。 そんなことを思う間も無く、ドアを開ける。外はまだぼんやりと暗い。そのおかげで、ご近所さんに姿を見られることも無いだろう。 ――あ…そうだ、夢だった。 そんなこんな考えている間に、マンションの前にあるマンホールの前に立たされる。 どうして、蓋がないんだろう? そんなことはどうでもいい。 「―――おい、まさか……」 「さぁ、行くぞ。」 ドン、と背中を押されて堪えきれず脚がマンホールへと吸い込まれた 「ふざけんなぁぁぁぁ!!!」
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!