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「ぼく、おっきくなったらおとうさんみたいなせいぎのみかたになる!」
小さな子供。
幼稚園の年長くらいの子供が父親の膝の上に座りながら、目をキラキラさせて言った。
「はははっ、そうかそうか。
お父さんは正義の味方か。
そいつは嬉しいな」
父親は本当に嬉しそうに笑った。
しかしすぐに真剣な表情を作り、自分の膝に座っている息子に言った。
「でも、それなら今のままじゃだめだな」
「どーして?」
子供はハテナマークを浮かべ、自分の父親の顔を見上げた。
「正義の味方はな、強くないといけないんだ。
悪者をやっつける為にな。
だから「わかった!」
父親が最後まで言い切る前に、子供は大きな声で遮った。
そして笑顔で言うのだ。
「ぼく、がんばってつよくなる!
しゅぎょーする!」
「おー、頑張れよー。
お父さんも応援するからな」
父親も我が子につられて笑顔になる。
2人ともニコニコしていて、とても楽しそうだった。
「ん!
おとうさんもきょーりょくしてね!」
「あらあら、何の話かしら?」
母親が、キッチンから夕食の支度を終えて出て来、2人の隣に座った。
そして楽しそうにしている父子の話に参加しようと、内容を教えてもらえるように問いかける。
「ああ、健吾が俺みたいな警察官になりたいんだってさ」
「まあ、そうだったの。
健吾、頑張ってね」
母親は自分の子供に微笑みかけ、その夢を純粋に応援した。
「んっ!
がんばるっ!」
元気よく返事をした子供は、楽しそうだった。
そんな子供を両親は、大事そうに、とても愛しむ目で見ていた。
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