変化する日常

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「おーい…天沢(アマサワ)…起きろー。 おーい」 学校での授業中、教師がある机の横に立ち、その机に突っ伏して寝ている生徒を揺すって起こそうとしていた。 しかし、寝ている生徒はなかなか起きる気配を見せない。 教師は溜め息を吐き、教室内を見回した。 「誰か……そうだな……よし、古坂(コサカ)。 お前が責任を持って天沢を起こせ。 1分以内にな」 「分っかりましたぁー!」 元気よく返事をし、離れた席にいるにも関わらず、すぐさま天沢と呼ばれている青年の元へと飛んできた。 そしてあろうことか、古坂という青年は天沢の耳元に顔を近づけ── 「ふーっ」 「ぐわぁぁぁぁぁっ!?」 ──息を吹きかけた。 効果は絶大。 しかし、代償は大きかった。 一発で天沢なる青年は目覚め、立ち上がり、そして……。 「キモい起こし方すんなっ!!」 「へぶっ!」 起こしたのが古坂だと分かるや否や、顔面に一発パンチをお見舞いする。 古坂は見事K.O.され、床に転がった。 「おはよう、天沢。 最悪な目覚めだな、気持ちは分かるよ」 古坂がいたのとは逆に立っていた教師が、目覚めた天沢に声をかけた。 内容は天沢を咎めるようなモノではなく、むしろ同情すらしていた。 「寝ていてすみませんでした。 そして今後このバカをけしかけるのは止めて下さい」 最初に自らの否を謝り、次に迷惑だと言わんばかりに床に転がる半死体に目を向ける。 「ああ、今後は気をつけよう。 さて、授業を再開するぞー」 そう言って教師は教壇へと戻って行った。 「だ…誰か俺の心配をしてくれ……」
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