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俺は、その頃から
小説を読み始めていた。
別に読書が好きな
訳でもなく、
それほど豊かな
感受性もない。
元カノのことを
自分で割り切った
つもりでも、
心のどこかで
まだ、引きずっていて
「もう、彼氏がいる。」
「もう済んだことだ。」
吐く当てのない言葉を…。
小説というドラマチックな
たくさんの出逢いや別れ、
ハッピーエンドの宝箱。
その宝の一つ一つと
自分と照らし合わせ、
自分はこんな上等な
恋愛ができていたのか。
いや、できてない。
多分、自分のしていた
恋愛はお遊戯なんだ
だったら、こんな
思いをしてもしかたない。
もしかしたら、
自分に恋愛は
むいてないんでは
ないのか……。
その答えが欲しくて
小説を読み始めた。
コンビニ裏の公園は
俺たちの行きつけの場所だ。
いつも、その公園の
ブランクで座っている。
将「友也、また小説読んでるのか?。」
将也がさっき買った
パンをかじりながら
聞く。
友「あぁ――――。」
将「小説って、そんなに面白いのか?」
友「別に、マンガじゃ
あるまいし、
笑ったりする
面白さじゃないよ。」
将「ふ~ん……。」
将也は不思議そうに
こっちを見ていた。
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