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『うーん、なんか動き辛いなぁ』
「そうですか?…異国の着物に慣れてしまっているのかも知れませんね」
着替え終わった私は、着方を教えてくれた女中さんと最初に入った部屋へ向かって、廊下を歩いていた。
そして、部屋の前まで来ると勢い良く襖が開いた。
「刹那殿!早かったでござるな!!」
『Σえっ、ああ、うん、教え方が良かったから』
そう言ったら女中さんは照れたような笑みを浮かべた後「失礼します」と言って立ち去って行った。
「さあ、刹那殿中へ!」
『うん』
半ば幸村に引っ張られて、室内へと入った。
いゃ、そんなに引っ張らなくてもいいと思うんだけど…
「着替え終ったか」
「お~、似合ってるよ刹那ちゃん」
『そうか、動き辛いんだけど』
私に用意されたのは淡い女物の着物。
着慣れていないからか、動き辛くてしょうがない。
『あ、佐助さっきはありがとな。助かったよ』
「気にしないでこれからここで暮らすんだから、あのほうが都合いいでしょ」
『確かにそうだねぇ』
成り行きとはいえ、ここで暮らすんだ。
この三人以外とも接触するだろうし、この方が都合が良い。
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