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「俺の母親って猫好きなんだよね」
「…は?」
何を、唐突に。
あたしは泣くのも忘れて、ちょっとびっくりして顔を上げた。
「子供の頃猫飼ってて、もうやたら可愛がってたんだけど、まあ猫だから、母親が大人になる頃には死んでさ。
その後、”あまりにも好きだから、もう二度と飼わない”って決めたんだって」
「はあ…」
話題を変えようと思ってくれてるのかな?それにしても唐突だけど。
「で、グウェン・ジョン。その画家って日本じゃあんまり有名じゃないけど、イギリスじゃ有名な人らしい。
猫の絵がすげ上手い画家なんだそうな。
母親は、猫を飼わない代わりに、猫のぬいぐるみやマスコットや写真集や漫画や…まあ何かと猫集めしてるんだけどね。
その中に、グウェン・ジョンの画集もあったわけよ。
ご丁寧に航空便で取り寄せてさ」
「そうなんだ…」
それで何を言いたいのか、よくわからないけど…
「母親の転がしてた画集に載ってたんだよね、この”横顔の少女”が。
この絵が、俺の初恋だったと思う。チョー可愛くね?」
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