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「待つって…」
「ずっと待ってたんだ。これからだって待てるよ。
俺、気が長いんだ」
「そんなの、あたし…いつまで健ちゃんのこと好きか、わかんないし」
タカシくんがふっと笑った。
「健ちゃんっていうんだね。そうか、健ちゃんかぁ…」
あたしはカーッと赤くなった。
「そう、健ちゃん。お姉ちゃんの彼氏。お姉ちゃんと結婚しちゃいそうな人よ」
ほとんどヤケになってぶちまける。
「健ちゃんのこと、ずっと好きかもしれない」
「そうだね。それでも待つよ」
「ええと、そんなの止めた方がいいよ。なんか悪いし」
タカシくんが笑った。優しい笑顔だ。
別れ話の後なのに、なんか嬉しそうにさえ見えた。
「サッカーしながら待ってる」
そう言うと、タカシくんは、片手を上げて。
くるっと背を向けて、あたしを図書室の奥に残したまま、走っていってしまった。
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